マンションで突然断水が起こると、飲み水やトイレ、入浴などあらゆる生活が止まってしまいます。特に高層階では、停電によって給水ポンプが止まり、水がまったく出なくなることも少なくありません。この記事では、マンションで断水が発生する主な原因や、給水方式ごとの特徴、そして今日からできる現実的な備え方をわかりやすく解説します。
マンションで断水が起きる原因とは？
マンションの断水は、設備や外部要因など複数の原因が重なって起こります。突然の断水にも落ち着いて対応するためには、まずどんなケースで起きるのかを理解しておくことが大切です。ここでは、日常的にも発生しやすい原因を中心に、主なリスクを整理していきます。水道管・給水設備のトラブル
マンションの断水で最も多いのが、水道管や給水設備のトラブルです。地震や老朽化で配管が破損すると、水が建物全体に届かなくなります。特に築年数の経ったマンションでは、サビやひび割れが原因で破裂が起きることも多いです。また、マンション内には受水槽や加圧ポンプなどの給水設備があり、これらが故障すると断水につながります。ポンプが電気で動くタイプだと、停電時にも機能しなくなるため注意が必要です。トラブルは突発的に起こるため、管理組合や業者による定期点検を怠らないことが予防につながります。
停電・給水制限・メンテナンスによる断水
給水設備が正常でも、停電によってポンプが止まると断水が発生します。特に高層階ほど影響が出やすく、数時間の停電でも水が使えなくなることがあります。また、雨が少ない時期などは自治体が節水のために給水制限を実施することがあり、時間帯によって断水するケースも多いです。さらに、貯水槽や給水管の清掃、点検などのメンテナンスを行う際も、一時的に断水が行われます。事前に通知されることが多いので、掲示板やエレベーター内の案内を必ず確認しておきましょう。急な断水と違い、計画的に準備しておくことで被害を最小限に抑えられます。
断水時に役立つ給水方式の知識
マンションでは、建物の構造や階数によって水の供給方法が異なります。どの方式を採用しているかによって、停電時の断水リスクも変わります。直圧直結・増圧直結給水方式
直圧直結給水方式は、水道本管の圧力で直接水を送る仕組みです。電力を使用しないため、停電時でも水が出る場合が多く、戸建てや低層マンションに多く採用されています。ただし、水道管が破裂したり、本管の圧力が低下したりすると断水するリスクが高いです。一方、増圧直結給水方式はポンプで圧力を加える方式で、高層階への給水に適しています。ただし、停電するとポンプが停止し、水が上層階に届きません。直圧直結は停電に強く、増圧直結は高層階に強いが停電に弱いという特徴があります。自分のマンションがどちらのタイプかを確認しておくことで、災害時の備え方を変えられます。
貯水槽水道方式
貯水槽水道方式は、建物内のタンクに一度水を貯めてから各戸に送る仕組みです。外部の水道が止まっても、タンクの水が残っている限りは一定時間使える点が特徴です。そのため、災害時に一時的に断水を避けられる場合があります。ただし、貯水槽が衛生的に管理されていなければ、雑菌の繁殖や水質悪化の恐れもあります。清掃時や点検時には一時的に断水するため、メンテナンス日程を把握しておくことが大切です。さらに、タンク内の水はポンプで各階へ送るため、停電時は断水の可能性が高くなります。定期清掃や非常用ポンプの整備も、日常的な防災対策の一環といえます。
今すぐできるマンション断水対策
断水は突然起こるため、日頃から備えておくことが重要です。特に高層マンションでは停電すると断水になるケースが多く、準備の有無で生活への影響が大きく変わります。ここでは、家庭で実践できる具体的な備え方を紹介します。飲料水と生活用水のストック
最も大切なのは飲み水の確保で、目安は1人1日3リットルを3日分、できれば7日分を備蓄すると安心です。ペットボトル水をまとめて購入するほか、ウォーターサーバーを利用すれば、日常的に飲みながら備蓄を回すローリングストックが可能です。停電時にも使える災害用浄水器を選べば、災害時にも安心して水を確保できます。また、飲料水とは別に生活用水も準備しておきましょう。お風呂の残り湯をためておけば、トイレの排水や清掃などに使えます。断水時はバケツ1杯の水を便器に一気に流すことで排水が可能です。こうした生活用水のストックがあるだけで、生活の不便を大きく減らせます。
衛生用品と断水時の注意点
断水中は手洗いや入浴ができなくなり、衛生環境が悪化します。ウェットティッシュやアルコールシートを常備しておくと、手や身体を清潔に保てて便利です。ただし、水に溶けないタイプはトイレに流さないよう注意しましょう。詰まりや逆流の原因になります。また、断水が発生した際は、すべての蛇口を閉めておくことも重要です。開いたままだと、復旧時に勢いよく水が噴き出し、床が濡れたり配管を傷めたりする恐れがあります。水が戻ったらまず少しずつ流し、濁りや異臭がないかを確認してから使用してください。
